「遊星からの物体X」は、1982年公開のアメリカのSFホラー映画です。
南極基地という閉ざされた空間を舞台に、地球外生命体の怪物と、それに襲われる観測隊員たちの恐怖を描いた作品です。
極限状況に置かれた人間ドラマ、生々しい怪物の描写が評価され、現在でも根強い人気を誇っています。
この記事では、本作の見どころを語っていきます。
遊星からの物体X (字幕版)
作品情報
予告編動画
概要
本作は、「ハロウィン」「ニューヨーク1997」などで有名なジョン・カーペンター監督が、古典SF「遊星よりの物体X(1951)」をリメイクした作品です。
特殊メイクや造形を担当するのは、当時まだ22歳だったロブ・ボッティンです。
アニマトロニクス(仕掛け人形)を駆使した特撮には生々しい迫力があり、CGとは一味違う魅力があります。
怪物が変形していくグロテスクな描写は、漫画「寄生獣」に影響を与えたとも言われています。
地球外生命体の怪物「The Thing(それ)」は、人間や動物などあらゆる生物に乗り移り、その生物と同化して擬態することができます。
この怪物が潜り込む舞台を南極基地に設定したことで、極限の状況で人間関係が崩壊していく極上の密室エンターテイメントに仕上がっているのです。
スタッフ・キャスト
- 原題:The Thing
- 監督:ジョン・カーペンター
- 製作:デビッド・フォスター ローレンス・ターマン
- 原作:ジョン・W・キャンベル・Jr.
- 脚本:ビル・ランカスター
- 撮影:ディーン・カンディ
- 音楽:エンニオ・モリコーネ
- 出演:カート・ラッセル、A・ウィルフォード・ブリムリー、ドナルド・モファット、キース・デイヴィッド
あらすじ
1982年、冬の南極大陸。ノルウェー観測隊の隊員が、一匹のハスキー犬を追ってアメリカ観測隊第4基地にやってきます。
ノルウェーの隊員は銃を乱射し、アメリカの隊員に負傷者が出たため、やむなく射殺され、ハスキー犬も保護されます。
事態の真相を究明すべく、ノルウェー観測隊の基地へと赴いたヘリ操縦士のマクレディ(カート・ラッセル)は、そこで発見した異様な姿の何かを持ち帰り、基地内へと運び込みます。
その様子を、保護されたハスキー犬がじっと見つめていました。
見どころ
極限状況の人間ドラマ
怪物「The Thing」は、細胞の一つ一つが独自に生きていて、他の動物に寄生して同化・擬態し、その動物の知識・記憶まで完全にコピーすることができます。
怪物が寄生した人間は、それまでと全く同じように会話ができるため、その人間に怪物が寄生しているかどうか、外から判別するのが非常に難しいのです。
仲間だと思っていた人間に、いきなり襲われるということも十分にあり得ます。
南極基地という閉ざされた空間の中では、「こいつは怪物が化けているんじゃないか?」という人間同士の不信感が最高潮に高まっていくのです。
少しでも怪しい人間は縛り付けて詰問したり、見限った仲間は全員で殺そうとしたりと、極限状況での人間の醜さが嫌というほど描かれているのです。
怪物の恐ろしさもさることながら、人間同士の不信感もまた恐ろしいのだということを感じさせてくれます。
人が人でなくなる瞬間
漫画「寄生獣」の怖さといえば、人間がパラサイトになる瞬間だと思います。
身近な存在である人間の顔が、突如パカッと割れて何か得体の知れないものに変わっていくという、人が人でなくなる瞬間が恐ろしいのです。
「寄生獣」に影響を与えたと言われる本作でも、人が人でなくなる瞬間を、絶妙なタイミングで描いています。
本作では、人間同士でいがみ合う時間も長く、怪物だと思ったら怪物じゃなかったりして、観ている方の不安感が増していきます。
これでもかとタメを作って、ある時突然にその瞬間が訪れ、人間が人間以外の何かに変わっていくのです。
ここにロブ・ボッティンの生々しい描写が加わり、絶大な効果が生まれるのです。
このタイミングの妙も、本作の魅力の一つでしょう。
まとめ
ホラー映画の魅力とは、人間以外の何かの存在を通して、「人間の恐ろしさ」を描くところにあります。
ゾンビ映画はその典型なのですが、本作は人間に化ける怪物という要素を加えることで、より人間同士の不信感を増大させ、人間の本質をあぶり出そうとしています。
極限状況におかれた人間の醜さをこれでもかと描いた本作は、間違いなく名作と言えるでしょう。
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