軍隊も会社も、ある目的を達成するために人が集まって出来ている「組織」です。
組織である以上、この両者には驚くほど沢山の共通点があります。
軍隊という組織が戦争を経験することで得た教訓は、ビジネスにおいても生かせるものばかりなのです。
そして戦争映画には、戦う組織の姿を通じて教訓を学べる作品がいくつもあり、サラリーマンになってから見返すとより深く共感できるようになっているのです。
そこで、この記事では「サラリーマンに刺さる戦争映画」というテーマで、邦画の中から5つの作品をピックアップし、印象に残るセリフと共に紹介していきます。
- 「太平洋奇跡の作戦 キスカ」
- 「アルキメデスの大戦」
- 「激動の昭和史 沖縄決戦」
- 「明日への遺言」
- 「激動の昭和史 軍閥」
「太平洋奇跡の作戦 キスカ」
「帰れば、また来ることが出来る」
米艦隊に包囲されたキスカ島から、5,200名余りの日本軍守備隊を救出した日本海軍の活躍を描いた戦争巨編です。
救出艦隊の指揮官・大村少将(日本海軍の木村昌福中将がモデル)を三船敏郎さんが演じており、同調圧力に負けず自分の信念を貫くリーダー像を重厚感あふれる演技で表現しています。
特にそのことを象徴するのが、1度目の救出作戦でキスカ島近海に迫ったときのシーンです。
救出作戦を成功させるためには、霧に隠れて隠密行動を取る必要がありますが、キスカ島の天気は晴れの予報が出てしまいます。
それにも関わらず、功を焦った救出部隊の将校たちは「敵に発見される覚悟でキスカ島に突入すべきだ」という同調圧力に支配されていきます。
そこで、大村少将は「帰れば、また来ることが出来る」と言って撤退を決断するのです。
同調圧力に負けず、冷静に状況を見極め的確な判断を下すという、リーダーのあるべき姿が伝わってくるような場面です。
組織の中でリーダーを務める方には、是非とも見ていただきたい作品です。
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「アルキメデスの大戦」
「海軍にいながら、戦艦を侮辱するのか。恥を知れ、恥を!」
本作は、軍拡路線を取る戦前の日本での「戦艦大和の建造」という抗えない空気に対して、数学の力で戦いを挑んだ若者の姿を描いた作品です。
本作では、組織が空気の支配に陥った状態がじっくりと描かれています。
日本海海戦という成功体験に固執する日本海軍には「戦艦こそ最強」という空気が出来上がっており、そこで行われる会議は何を言っても「結論ありき」の会議になっています。
そのことを象徴するのが、新造艦艇の検討会議のシーンです。
山本五十六少将(演:舘ひろし)が、これからの戦いは航空機が主力になるという意見を述べたことに対して、
島田繁太郎少将(演:橋爪功)が、「海軍にいながら、戦艦を侮辱するのか。恥を知れ、恥を!」と激高するのです。
反対意見すら許さない、まさに空気の支配する会議の典型ですね。
過去の成功体験に固執した「結論ありき」の会議は一般企業でもしばしば見られ、企業の成長を阻む要因ともなります。
そのような空気に抗うにはどうすればよいのか、本作を見ることでそのヒントが分かってきます。
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「激動の昭和史 沖縄決戦」
「違う。兵の多少から事は始まる。」
本作は、国内最大の激戦となった沖縄戦を、司令部から一兵士、市井の人々の姿まで、様々な角度から描いた作品です。
本作では、日本陸軍の積極攻勢という同調圧力に対し、エリート参謀・八原博通大佐(仲代達也)が合理的な思考で立ち向かっていく姿がとても印象的です。
圧倒的な戦力を誇る米軍に対し、沖縄を守る第32軍の司令部内は、無謀にも「兵の多少に構わず、積極的に攻撃すべきだ」という意見が大勢を占め、それは抗い難い空気となっていきます。
それに対して、八原大佐は以下のようにきっぱりと否定します。
「違う。兵の多少から事は始まる。」
このように、八原大佐は同調圧力に負けず、米軍との戦力差を考え積極攻勢ではなく持久戦を行うべきだと主張していきます。
数に物を言わせる組織の論理に対し、合理的な思考を持って一人で立ち向かっていく八原大佐の姿は、サラリーマンも深く共感できるはずです。
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「明日への遺言」
「部下が行ったすべての行為について、責任を取るのは司令官である自分であります。」
本作は、戦後に行われた連合国によるB級戦犯裁判を題材にした作品です。
第二次世界大戦末期、撃墜されたB29の搭乗員を略式裁判で処刑したことで、B級戦犯として19人の部下とともに裁判にかけらえた東海軍司令官・岡田資中将(藤田まこと)。
岡田中将は、法廷闘争を法による戦いー“法戦”と位置づけ、日本の都市への空爆は国際法違反であること、全ての責任は処刑の指示を下した自分にあることを主張していきます。
そのことを象徴するのが、裁判のシーンでの岡田中将の「部下が行ったすべての行為について、責任を取るのは司令官である自分であります。」というセリフです。
このように、全てを背負う覚悟を見せた岡田中将の姿勢は、やがてアメリカ人の心までも動かしていきます。
戦後日本の礎となる部下を守り、上司としての責任を全うするという岡田中将の気高い生き方には、サラリーマンなら誰でも心を打たれるはずです。
本作を見れば「岡田中将が上司になってほしい!」と思うでしょう。
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「激動の昭和史 軍閥」
「何を申し上げても、お取り上げにならないからです。」
日本がいかにして太平洋戦争に突入したのか、なぜ戦争が拡大していったのかを、軍部や政府の指導者の姿を通して描いた作品です。
あくまでも当時の歴史観に基づく描写であると前置きをしておきますが、本作では戦争を指導した東条英機首相(小林桂樹)を、視野狭窄に陥ったリーダー、裸の王様として描いています。
印象的なのは、東条首相が、部下から「戦局が有利なうちに講和をすべき」と意見を具申されるシーンです。
東条首相は怒鳴り声を上げてその意見を却下しますが、部下にこう言われてしまいます。
「近頃、閣下の周囲には正しい意見の具申をするものがほとんどいなくなりました。」
「何を申し上げても、お取り上げにならないからです。」
部下の言う通り、都合の悪い情報をシャットアウトし続けたことで「裸の王様」になり、大局的な判断が出来なくなっているのです。
このような「裸の王様」がリーダーになった組織がどんな運命を辿るのかを、本作ではじっくりと描いています。
ビジネスにおいても、都合の悪い情報こそ積極的に取り入れるようにしたいですね。
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まとめ
この記事では、邦画の中から「サラリーマンに刺さる戦争映画」を5つ紹介していきました。
戦争映画を通じて得られる教訓は、ビジネスにも生かせるものも沢山あります。
また、映画で描かれる軍人の姿から、リーダーの理想像も分かってきます。
今回紹介した作品を見ることで、日々の仕事に役立てみてはいかがでしょうか。
- 「太平洋奇跡の作戦 キスカ」
- 「アルキメデスの大戦」
- 「激動の昭和史 沖縄決戦」
- 「明日への遺言」
- 「激動の昭和史 軍閥」
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