映画｢セルピコ｣｜アメリカのムラ社会と戦い続けた警察官の物語【無料で見る方法も紹介】

映画｢セルピコ｣は、1973年に公開されたアメリカ・イタリア合作の社会派ドラマです。

ニューヨーク市警に蔓延する汚職に立ち向かった警察官、フランク・セルピコの実話をベースにした作品です。

一個人でありながら巨大組織と戦い続けたセルピコの姿は、日本のサラリーマンにも深い感銘を与えてくれます。

特に、上司の不正を指摘したことが原因で報復を受けたという方は大いに共感できるはずです。

この記事では、本作の見どころに加え、無料で見る方法も紹介していきます。

作品情報

概要

本作の主人公のフランク・セルピコは、1960～70年頃のニューヨーク市警に蔓延していた汚職を告発した警察官として、アメリカでは有名な人物です。

セルピコ役は｢ゴッドファーザー｣で有名なアル・パチーノが演じており、役作りのためセルピコ本人を家に招いて同居するということまで行っています。

その甲斐もあって、本作でパチーノは圧巻の演技を見せており、第31回ゴールデングローブ賞の最優秀主演男優賞を受賞しています。

本作では、組織の中で孤立していく人間の心理がリアルに表現されており、組織の中で生きる日本のサラリーマンにも感じる所の多い作品となっています。

スタッフ・キャスト

あらすじ

警察学校を卒業後、正義感に燃えてニューヨーク市警の勤務に就いたフランク・セルピコ(アル・パチーノ)。

しかしそこでは、警察官が賄賂を受け取る代わりに犯罪を見逃すという汚職がはびこっていました。

セルピコも同僚の警察官から賄賂の受取を持ちかけられますが、断固として拒否したところ、同僚たちから疎まれ左遷されることになります。

セルピコはあらゆる手を使って汚職を告発し、警察の闇を暴こうとしていきますが、そのことで警察内部での孤立が決定的になっていきます。

見どころ

会社に見られるムラ社会

日本の会社では、内部告発を行った社員に対してペナルティが課されるということがよくあります。

内部告発者は自分の正義感や信念に基づいて、会社の不正や違法行為を糺そうとしているのですが、そのことで会社から睨まれ、懲罰的な人事異動を受けたり等の報復を受けることは少なくありません。

社内の窓口に通報した場合でも報復を受けることがありますが、マスコミや労働基準監督署などの外部機関に通報した場合は、より苛烈な報復が待っています。

最悪の場合、ありとあらゆる理由をつけて退職に追い込んでくることもあるでしょう。

このような会社は、ムラ社会としての性格がとても強いのです。

ムラ社会には、以下のような暗黙のルールがあります。

そして、これらのルールを破った人には、｢村八分｣という制裁が待っています。

会社の不正を告発することは、法律的には正しい行動です。

会社の不正や違法行為を是正させることで、社会の利益にもつながります。

しかしながら会社というムラの論理で考えれば、内部告発を行った者は、問題を大きくして上層部のメンツを潰す“空気の読めないヤツ”なのです。

ましてや外部の機関に通報するなど、会社ムラからすれば言語道断でしょう。

会社の不正を告発した人が左遷されたり退職に追い込まれたということは、要するに村八分を受けたということなのです。

ニューヨーク市警というムラ社会

そしてこのムラ社会的な組織は、アメリカにおいても見られます。

本作は、汚職がはびこっていたニューヨーク市警の実話を元にしています。

そこでは警察官が犯罪を見逃す見返りに、犯罪者から賄賂を受け取っているのです。

配当と称して毎月一定の金額を犯罪者から徴収するなど、やっていることはマフィアと変わりません。

セルピコは正義を守るという信念を持って警察官になったのですが、こうした賄賂が横行する警察組織に愕然とします。

ここで賄賂の受取を拒否したことで、セルピコは次第に同僚から疎まれる存在になっていきます。

それでもセルピコは自分の信念を貫き、これらの不正行為を内部告発しますが、同僚の警察官から裏切り者呼ばわりされ、危険な現場に飛ばされるという仕打ちを受けます。

汚職問題を社会に知らしめて組織の有力者のメンツを潰したことへの報復でしょう。

ムラ社会的な組織の中で自分の正義を貫くことは、時に人を孤独にするのです。

そのことを示すのが、作品内で語られる”賢い王様”という童話です。

賢い王様が正気を保っていたとしても、国民全員が正気を失っていれば、国民には王様の方が正気を失っているように見えるというお話です。

村人からすれば、ムラの掟を守らない人間などまともじゃない、排除すべき｢よそ者｣だということなんですね。

このように、一個人が組織と戦い続けることは本当に難しく、途中で挫折することの方が多いでしょう。

だからこそ、最後まで諦めずに戦い続けたセルピコの姿勢が深い感動を与えてくれるのです。

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まとめ

日本にもアメリカにもムラ社会的な組織は存在します。

ムラのメンバーは、ムラによって生かされている立場でもあり、ムラの決定に逆らうことは、ムラのメンバーの中での孤立を意味します。

内部告発といっても、簡単にできることではありません。

だからこそ、自分の信念を貫き通したセルピコの姿に憧れるのです。

組織人として生きていくとしても、その姿勢だけは忘れないようにしたいものです。

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