事件は会議室で起きてるんじゃない!|「官僚組織の無謬性」信仰を描いた映画 5選

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事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!

これは、「踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!」の劇中で青島刑事が叫んだセリフです。

余りにも有名なこのセリフは、官僚組織の無謬性」信仰を痛烈に批判したセリフでもあります。

「官僚組織の無謬性」信仰とは、役所や大企業などの官僚組織において、「上層部が決定して実行することには失敗など起こらない、失敗した時のことを考えてはいけない」という思い込みのことです。

この信仰に基づいて下される指示や命令は、しばしば現場の人間に多大な犠牲を強いることに繋がります。

サラリーマンなら誰でも心当たりがあるのではないでしょうか。

そこで、この記事では「官僚組織の無謬性」信仰を描いた映画を、U-NEXT配信作品を中心に5つ紹介していきます。

この記事で紹介する作品
  • 「踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!」
  • 「機動警察パトレイバー 2 the Movie」
  • 「県庁の星」
  • 「遠すぎた橋」
  • 「バーニング・オーシャン」
目次

「官僚組織の無謬性」信仰を描いた映画 5選

「踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!」

もはや説明不要な伝説の名セリフ、

事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!

これは、本作で織田裕二さん演じる青島刑事が叫んだセリフです。

サラリーマンの心にも突き刺さるセリフであり、理不尽な指示を出してくる会社の上層部に対し、このセリフを叫びたくなった人も多いのではないでしょうか。

それほどまでに、本作は多くのサラリーマンの共感を呼んでいます。

官僚組織の決定に間違いはない」という思い込みと、それに振り回される現場の人間の苦労が描かれているからです。

本作では、警視庁副総監の拉致事件が発生し、本庁の刑事が湾岸署にズカズカと乗り込んできて捜査本部を設置します。

警察上層部の意向を汲んだ本庁の刑事は捜査の主導権を握り、湾岸署の刑事に対しては上から目線で指示を出して補助的な業務だけを任せます。

そのことに納得のいかない湾岸署の刑事は、独自の捜査を行っていきます。

会議室にいる上層部とのやり取りに終始している本庁の刑事は犯人像を掴めず、その一方で足を使って地道に捜査する湾岸署の刑事は真犯人へと近づいていきます。

やがて青島刑事は真犯人を発見し、無線で犯人を確保する許可を求めますが、上層部から「本庁の捜査員が行くまで待て」と的外れなことを言われ、さすがにブチ切れて冒頭のセリフを叫ぶことになるのです。

自分たちの捜査の間違いを認めないどころか、現場を見ずに的外れな指示を出すという、「官僚組織の無謬性」信仰を痛烈に批判したセリフだったのです。

この時の青島刑事の心境は、組織で働いた経験がある人なら誰でも理解できるのではないでしょうか。

「踊る大捜査線」シリーズが大ヒットしたことも頷けますね。

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「機動警察パトレイバー 2 the Movie」

本作は、人気TVアニメ「機動警察パトレイバー」の劇場公開第2弾となる作品です。

キャリアとノンキャリアの対立など、警察組織の内部をリアルに描写しており、その後のエンターテイメント作品にも影響を与えています。

実質な主人公は警視庁特車二課第2小隊の後藤隊長であり、F16戦闘機による横浜ベイブリッジ爆破を始めとする様々な怪事件の真相に迫っていきます。

本作では、警察組織の上層部が「官僚組織の無謬性」信仰にとらわれています。

警察上層部の一部勢力は自らの権限の拡大を狙い、一連の事件の責任を自衛隊に押し付け、三沢基地の司令を拘束し各駐屯地を包囲するという行き過ぎた行動を取ります。

自分達の行いは絶対に正しいと信じ、その結果何が起きるのかは全く考えていないのです。

案の定、警察に不信感を募らせた政府は自衛隊に治安出動を命じ、自衛隊内に潜んでいた事件の首謀者の一味が東京各所を攻撃し、日本は内戦一歩手前の状態に陥っていきます。

その状況にも関わらず、警察の上層部は会議の場において、無益な保身と後藤隊長ら部下の吊るし上げに終始します。

上層部に対してさすがに愛想がつきた後藤隊長は、会議の場でこう語ります。

戦線から遠のくと楽観主義が現実に取って代わる。そして最高意志決定の場では、現実なるものはしばしば存在しない。

ネット上でも有名なこのセリフは、「官僚組織の無謬性」信仰に対する痛烈な批判だったのです。

踊る大捜査線の「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」にも通じるところがありますね。

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「県庁の星」

県庁のエリート公務員が、人事交流研修で派遣されたスーパーの改革を通じて、人生において大切なものに気付いていくという人間ドラマです。

主人公の野村聡(織田裕二)は、K県庁のキャリア公務員です。

野村はバリバリ仕事ができるタイプで、県庁の業務で培ったプレゼンテーション能力やマニュアル作成能力には定評があり、周囲からも一目置かれています。

野村は激しい上昇志向も持っており、特別養護老人施設建設のビッグプロジェクトに加わることで、さらなるステップアップを狙っています。

そのプロジェクトを前に、野村は民間企業との人事交流研修のメンバーに選出されることになり、研修先としてスーパーの「満天堂」に派遣されることとなります。

野村はスーパーの仕事も出世の為と意気込み、県庁で培った役人流のやり方を押し付けていきますが、民間のスーパーでは全く通用しません。

レジ打ち業務ではお客さんに失礼な対応をしたり、寝具売り場ではレイアウトを勝手に変更したりして、教育係のパート従業員に怒られてしまいます。

接客業務はとても任せられないということで、野村はバックヤードにある総菜部門に回されることになります。

総菜部門で野村は弁当の企画を任されますが、ここでも野村が企画した高級弁当は全く売れません。

野村は、「役人のすることに間違いは無いはずだ」という無謬性信仰に陥っていたのです。

そんな野村も、スーパーで働く人々と向き合ううちに、自分に足りないもの気付き、県庁職員として、そしてビジネスパーソンとして成長を遂げていきます。

人は何のために働くのか、大切なことに気付かせてくれる作品です。

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「遠すぎた橋」

第二次世界大戦の後期に連合軍が行った空挺作戦「マーケットガーデン作戦」を、90億円という製作費を投じて描いた戦争超大作です。

マーケットガーデン作戦とは、ドイツ本土侵攻への足掛かりとして、オランダからドイツへ至る進軍ルートを確保するという作戦です。

作戦の内容は、空挺部隊をパラシュート降下させて要所となる5つの橋を一気に確保し、後からやってくる地上部隊と合流して最終目的地のアルンヘムまで占領するというものです。

この作戦で空挺部隊が持ち運べるのは軽火器が限界であり、ドイツ軍の戦車が出てきたらひとたまりもありません。

ところが、イギリス軍を指揮するブラウニング中将は、アルンヘムのドイツ軍に戦車は無く、弱小部隊しかいないと信じ切っています。

部下からドイツ軍の戦車師団が潜伏しているという証拠写真を見せられても、ブラウニング中将は「(戦車は)多分動くまい」と根拠もないことを言って作戦を強行します。

案の定、アルンヘムには強力なドイツの戦車師団が健在であり、そこに降下したイギリス軍の空挺部隊は包囲され、大きな損害を受けることになります。

元々この作戦は、武勲を焦るイギリス軍の上層部が大急ぎで立案したものでした。

そこでは、作戦実行にあたり不都合な情報は無視されてしまうのです。

「自分達の考える作戦に間違いは無いはずだ」という、官僚組織の無謬性」信仰に陥っていたのです。

このような上層部の根拠なき命令の犠牲になるのは、いつだって現場の人間なのです。

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「バーニング・オーシャン」

2010年にメキシコ湾で発生した、石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」の爆発事故を題材にした作品です。

この事故は「世界最大級の人災」と言われており、本作を見ればその意味が分かってきます。

本作では、石油掘削施設の親会社BP社の管理職ヴィドリン(ジョン・マルコヴィッチ)は安全よりも利益を第一に考えており、掘削作業の遅れを何よりも気にしています。

そのため、普通なら行われるはずのセメントテストを省略してしまいます。

それでも、ヴィドリンは「セメントは大丈夫だという確信がある」と根拠のないことを言って、テストを省略したことを正当化してしまいます。

これに対して、掘削施設の現場責任者が猛烈に抗議して危険を訴え、安全のための負圧テストを追加で行うことでなんとか話はまとまります。

そして負圧テストを行った結果、通常はゼロを示す圧力計が1395PSIという異常値を記録します。

しかし、ここでもヴィドリンは「異常値が出たのは、部品の不具合かセンサーの誤作動」と都合の良い解釈をして、現場の作業員に掘削作業の開始を指示します。

掘削作業が始まるや否や、泥水が物凄い勢いで噴き出し、続いて噴き出した天然ガスが施設のエンジンに引火して大爆発を引き起こします。

この大惨事は、親会社の上層部が官僚組織の無謬性」信仰に陥った結果として引き起こされた事故だったのです。

根拠のない指示を出して大人災を引き起こすという、こんな上司の元では絶対に働きたくありませんね。

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まとめ

この記事では官僚組織の無謬性」信仰を描いた映画を5つ紹介していきました。

巨大組織において「官僚組織の無謬性」信仰に基づき根拠なく下された指示や命令は、しばしば大きな過ちを引き起こし、現場の人間に多大な犠牲を強いることになります。

現場の人間の犠牲を防ぐためにも、その指示や命令には確固たる根拠はあるのか、客観的な視点から検証していくことが必要になります。

  • 「踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!」
  • 「機動警察パトレイバー 2 the Movie」
  • 「県庁の星」
  • 「遠すぎた橋」
  • 「バーニング・オーシャン」

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