映画「体脂肪計タニタの社員食堂」健康もまたビジネスだ。

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体脂肪計、体組成計など、常に先進の健康機器を提供している株式会社タニタ。

 タニタと言えば、やはり社員食堂が有名です。

2010年に発売した、社員食堂のレシピを掲載した料理本「体脂肪計タニタの社員食堂~500kcalのまんぷく定食~」(大和書房)は累計発行部数500万部超えのメガヒットとなります。

2012年には、東京・丸の内に、タニタの社員食堂のコンセプトを忠実に再現した「丸の内タニタ食堂」をオープンさせます。

この「タニタの社員食堂」を中心とするビジネス展開は、2012年4月に日本マーケティング協会の選出した「第4回日本マーケティング大賞」を受賞しています。

このタニタの社員食堂にまつわる実話を、大胆な脚色で映画化したのが、本作「体脂肪計タニタの社員食堂」です。

この映画を見ると、なぜタニタの社員食堂が成功したのかが分かってきます。

それは、「事業ドメインの再定義」にあったのです。


体脂肪計タニタの社員食堂
目次

事業ドメインを見直す

事業ドメインとは、企業が経済活動を行っている事業領域のことです。

分かりやすく言えば、「どの業界で、どんな商品やサービスを提供するか」ということです。

事業ドメインを設定すると、自社の目指すべき姿が明確になり、将来の成長につながりやすくなります。

事業ドメインを設定する重要性を最初に指摘したのは、元ハーバード・ビジネススクール名誉教授のセオドア・レビット博士です。

レビット博士は、1960年に発表した「マーケティング近視眼」の中で、米国の鉄道会社の衰退理由として、自社の事業の領域を狭めてしまったことを挙げています。

自社の事業を「鉄道輸送」として解釈し、「鉄道」という製品に固執したため、「人を運ぶ」というニーズを捉えきれず、自動車会社や飛行機会社にそのニーズを奪われてしまったのです。

もし、鉄道会社が、自社の事業のドメインを「人を運ぶビジネス」と定義し直していれば、鉄道という製品に固執することなく、新しい方向性を見出し、現在まで生き残れた可能性もあるのです。

タニタの事業ドメインとは

ベストウェイトセンターの設立

「タニタの社員食堂」が生まれたのも、事業ドメインを再定義したことが背景にあります。

それまでのタニタの事業ドメインは「体重計を売る」というものでしたが、その事業ドメインを広げて「体重を量る」と考えれば、体重が示すもの、すなわち「健康」もビジネスの領域となってくるのです。

このことは、タニタの谷田大輔前社長も、著書(タニタはこうして世界一になった 『タニタの社員食堂』誕生秘話を交えて)で語っています。

タニタは、ビジネス領域を拡大させるための施策として、1990年に「ベストウエイトセンター」を設立しました。

ベストウエイトセンターは、最新鋭のトレーニング設備が揃い、医師や管理栄養士による栄養と調理の個別指導が受けられる、日本初となる肥満対策施設でした。

一般会員の入会金が10万円、6か月の料金が45万円など、高額の料金設定でしたが、それに見合うだけの充実した施設となっていました。

ベストウエイトセンターは他社との競合もあり、収支としては苦戦し、2005年に閉鎖となります。

しかしながら、ここで行われた減量指導で得られたデータは、その後の研究開発に非常に役立つものとなり、また、日本初の肥満対策施設として認識されたことで、メディアに注目され、タニタのイメージアップに繋がったのです。

社員食堂の誕生

その後、ベストウエイトセンターで働いていた管理栄養士の雇用の確保のため、タニタでは社員食堂を作ります。

この社員食堂では、ベストウエイトセンターでの調理指導の際に提供されていた料理をそのまま出すことにしていました。

当初は、70人程度を対象に、肥満や高血圧の社員に限定して運営していました。

「健康」が事業ドメインのため、まずは自社の社員の健康から改善するねらいがありました。

この社員食堂は、「1年間に2度と同じメニューを出さない」というポリシーで運営され、身体に良いだけでなく、美味しく食べられるようになっていました。

摂取カロリーは1週間のトータルでバランスが取れるように調整をするという方法であったため、デザートも出していました。

そのため、このメニューを食べるよう指導された社員はダイエットを無理なく続けられ、健康的に痩せていきました。

その後、社員食堂は東京本社の300人程が食べられるように拡大していきます。

ラジオ体操の表彰で注目を集める

そんなタニタの社員食堂が世間に注目されるきっかけとなったのが、「ラジオ体操」です。

2004年にタニタは創立60周年を迎えたことを受け、健康に寄与した企業や団体を表彰しようという目的で「タニタ健康大賞」というものを企画します。

その第1回で表彰されたのが、NHKの「ラジオ体操」でした。

このことがきっかけで、2009年にNHKの「サラリーマンNEO」のコーナー「世界の社食から」でタニタの社員食堂が取り上げられ、大きな注目を集めることになります。

その後、タニタの社員食堂は民放各局でも紹介され、出版社からのオファーにつながり、レシピ本「体脂肪計タニタの社員食堂~500kcalのまんぷく定食~」が大ヒットすることとなったのです。

「健康」もまたビジネスだ

この映画では、ぽっちゃり体形の頼りない2代目副社長・幸之助(浜野謙太)が、体脂肪計の販促キャンペーンの一環として3か月間のダイエット計画を立ち上げ、自らもそのメンバーに加わってダイエットに挑戦していきます。

ダイエット計画を担うため、社員食堂に幸之助の同級生の栄養士・春野菜々子(優香)を迎え、健康的に痩せるためのレシピを開発していきます。 

幸之助は副社長という立場にありながら、周りの役員からは「2代目のボンボン」扱いされて、まったく信用されていません。

販促会議でも、これといった意見が言えず、役員から突き上げを受けてしまいます。

幸之助は、一時は心が折れそうになりながらも、販促キャンペーンをやり抜く決意を固め、役員の説得を試みます。

ここでの説得の材料に使ったのが、社員食堂のレシピの公開という方法でした。

体重計を売る会社がレシピを公開するというのは、それまでに無い、革新的な取り組みだったのです。

現実の世界でも、タニタの社員食堂のレシピは書籍化されて大ヒットし、世間から認知され、タニタの大きなイメージアップにつながっています。

事業ドメインを、「体重計を売る」だけにとどめず、「健康」として再定義したことがその成功の要因となったのです。

体重計を使う人は、自分の体重が適性かどうかを確認したい、つまり、『健康』に気を使っているのです。

そう考えれば、健康という顧客のニーズに応え、社員食堂のレシピ本や、丸の内タニタ食堂生み出したタニタの試みは、特定のビジネス領域に固執しない、企業の永続的な発展につながるものといえるでしょう。

今後もタニタの取り組みには注目していきたいものです。

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本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにて
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