映画「バーニング・オーシャン」|未曾有の大惨事を生み出した「官僚組織の無謬性」信仰【無料で見る方法も紹介】

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「バーニング・オーシャン」は、2016年に公開されたアメリカの災害パニック映画です。

2010年にメキシコ湾で実際に起きた、石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」の爆発事故を題材にしています。

本作を見ると、未曾有の大惨事を生み出したのは、「官僚組織の無謬性」信仰であることが分かってきます。

サラリーマンにも深く共感できる作品であり、この記事では本作の見どころに加え、無料で見る方法も紹介していきます。

目次

作品情報

予告動画

概要

2010年4月20日、メキシコ湾沖約80kmにある石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」で、海底油田から逆流してきた天然ガスの引火による大爆発が起こります。

この事故で、海底へ伸びる5,500mの掘削パイプが折れ、490万バレルという大量の原油がメキシコ湾に流出したことにより、被害規模616億ドルという未曾有の大惨事となりました。

本作ではこの大惨事を、ディープウォーター・ホライズンで起きた出来事を中心に描いています。

映画史上最大とも言われる撮影セットが作られ、ディープウォーター・ホライズンの構造を細部までリアルに再現しています。

そのセット上で本物の爆発とVFXを組み合わせることで、まさに「火の海」を作りだして観客に強烈なインパクトを与え、その年の米国アカデミー賞の視覚効果賞を受賞するという評価も受けました。

ラストには実際の事故映像も使用されています。

スタッフ・キャスト

  • 監督:ピーター・バーグ
  • 原案:マシュー・サンド
  • 脚本:マシュー・マイケル・カーナハン、マシュー・サンド
  • 撮影:エンリケ・シャディアック
  • 美術:クリス・シーガーズ
  • 編集:コルビー・パーカー・Jr、ガブリエル・フレミング
  • 音楽:スティーブ・ジャブロンスキー
  • キャスト:マーク・ウォールバーグ(マイク・ウィリアムズ)、カート・ラッセル(ジミー・ハレル)、ジョン・マルコビッチ(ヴィドリン)、ジーナ・ロドリゲス(アンドレア・フレイタス)、ディラン・オブライエン(ケイレブ・ハロウェイ)、ケイト・ハドソン(フェリシア・ウィリアムズ)

あらすじ

2010年のアメリカ。

石油掘削会社のエンジニアのマイク(マーク・ウォールバーグ)は、メキシコ湾沖に浮かぶ石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」へと赴任します。

しかしそこでは、親会社BP社の管理職ヴィドリン(ジョン・マルコビッチ)の指示により、作業期間の遅れを取り戻すため、重要なセメント・テストを省いて作業が進められていたのでした。

そのことに気付いた現場主任のジミー(カート・ラッセル)は猛烈に抗議し、何とか負圧テストを行うことで話はまとまります。

負圧テストの結果、異常な数値が出るのですが、ヴィドリンは「機械のミスだ」と言って異常を認めず、掘削作業の開始を指示します。

掘削作業が始まると、猛烈な勢いで泥水が噴き出し、続いて噴出した天然ガスにより大爆発が起き、施設中が炎に包まれていくのでした。

見どころ

大惨事を招いた「官僚組織の無謬性」信仰

石油掘削施設の大爆発という未曾有の大惨事を生んだのは、「官僚組織の無謬性」信仰が原因です。

官僚制の無謬性信仰とは、「官僚組織において正当な手続きを経て決定されたことには何ら間違いは無く、それが失敗したときのことを考えてはいけない」という思い込みです。

官庁や大企業といった官僚組織は、しばしばこうした思い込みに陥り、都合の良い情報ばかり集め、都合の悪い情報は無視するようになるのです。

本作では、石油掘削施設の親会社BP社の管理職ヴィドリン(ジョン・マルコヴィッチ)は、安全よりも利益を優先し、掘削作業の遅れを何よりも気にしています。

そのため、普通なら行われるはずのセメントテストを省略してしまいます。

それにもかかわらず、「セメントは大丈夫だという確信がある」と根拠のないことを言って、テストを省略したことを正当化しています。

まさに、自分達の行いには間違いがないという、無謬性信仰に陥っているのです。

掘削施設の現場責任者のジミー(カート・ラッセル)は、それではあまりにも危険だと訴え、安全のために負圧テストを行うことで話はまとまります。

そして負圧テストが行われた結果、通常は0PSIのはずの圧力計が、1395PSIという異常値を記録します。

この数値は、掘削作業を開始すれば掘削泥水が猛烈な勢いで噴き出すという危険なものです。

しかしここでも、ヴィドリンは「異常値が出たのは、部品の不具合かセンサーの誤作動」と都合の良い解釈をして、テストの結果には何ら問題ないと説明し、現場の作業員に掘削作業の開始を指示します。

そしてやはり、掘削作業が始まるや否や泥水が物凄い勢いで噴き出し、あっという間に施設は泥水まみれになり、作業員たちはパニックに陥ります。

その後、泥水に続いて天然ガスも噴き出し、噴き出したガスはエンジンに引火して大爆発を引き起こします。

作業員たちは爆風に吹き飛ばされ、火の海に閉じ込められてしまいます。

このように、「官僚組織の無謬性」信仰という楽観主義が、未曾有の大惨事を引き起こしたのです。

上層部の根拠なき楽観主義により犠牲になるのは、いつだって現場の人間なのです。

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まとめ

本作では、現場の人間の奮闘も良く描かれています。

炎に包まれながらも、被害の拡大を食い止め、仲間を助けようと奮闘する作業員たちの姿が本当に素晴らしいのです。

かつての日本企業にもあったような、力強い現場力を感じさせてくれます。

事態を甘く見て大惨事を招く上層部と、何とか被害を最小限に抑えようと奮闘する現場の人々。

巨大組織にしばしば見られるこの現象は、日本のサラリーマンも深く共感できるでしょう。

人災を起こさない組織を作るために、本作を見ることをおすすめします。

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