映画「イン・ザ・ヒーロー」|夢に向かう原動力は“共同体感覚”

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アクション映画や特撮番組にはなくてはならない存在である、スーツアクター。

スーツアクターは一般に名前は知られていませんが、作品作りに欠かせない真のヒーローともいえます。

本作は、そんな影の主役であるスーツアクターに、日本映画史上初めてスポットライトを当てた人間ドラマです。

そしてこの作品から、本当の幸せとは何かが分かってきます。

それは、アドラー心理学の「共同体感覚」にあるのです。

この記事では、そのことを考えていきたいと思います。

目次

夢の原動力はどこから?

人の役に立ちたいという情熱

その道25年の大ベテラン、48歳の現役スーツアクターである主人公を演じるのは、東映アクションクラブで実際にスーツアクターをしていたこともある唐沢寿明さんです。

主人公は「下落合ヒーローアクションクラブ」の代表でもありますが、ブルース・リーにあこがれ、いつかは顔出しで映画に出演をするという夢をもっています。

長年のスーツアクター生活で身体はボロボロ、いったん決まりかけた役も、新人の人気俳優に奪われたりと、辛酸を舐めさせられますが、それでも夢はあきらめていません。

その夢の原動力は、どこから来るのでしょうか。

それは、主人公のこの言葉から見えてきます。

「ブルースが俺のヒーローだったように、俺も誰かのヒーローになりたい。俺がやらなきゃ、俺がやらなきゃよ!誰も信じなくなるぜ。アクションには夢があるってことを!」

(イン・ザ・ヒーロー)

これは、主人公がハリウッドのアクション大作の撮影に臨む際にその決意を語った言葉です。

この撮影の内容は、ワイヤーやCG無しで8.5メートルの櫓から飛び降り、100人の忍者と立ち合いを演じるという、命に関わる危険なものです。

当然、周囲からも反対されますが、主人公は、ブルース・リーのように誰かのヒーローになって夢を与えたいと、この仕事を受けます。

自分のためだけでなく、人の役に立ちたいという情熱がそこにはあるのです。

だからこそ、いくつになっても夢を追い続けられるのです。

このように、人の役に立つことを通じて幸せを築いていくということが、アドラー心理学の「共同体感覚」なのです。 

承認欲求にとらわれず、他者へ貢献する。

「共同体感覚」と「貢献感」

「共同体感覚」は、アドラーが最も重要視する概念のひとつです。

ここでいう「共同体」とは、一つの会社といった特定の共同体にとどまらず、この世界全体まで広がっているものです。

人は一人で生きていくことはできません。

共同体の仲間を大切にしていくことで、幸福感を抱くことが出来るのです。

主人公の考えていた共同体は、自分が代表を務めるアクションクラブはもちろんのこと、アクションに携わるすべての人々も含んでいたのではないでしょうか。

そしてこの共同体感覚を得るための重要な要素が、「貢献感」です。

貢献感とは、「私は人の役に立っているんだ」と思える感覚のことです。

そしてこの感覚は、他者からの承認を求めるものではありません。

「自分はこれだけやっているのに、周りの人は評価してくれない」といってイライラしてしまうのは、他者からの承認をあてにしているからであり、かえって幸福から遠ざかってしまうものなのです。

他者貢献という究極の自己満足

アドラー心理学のベストセラー、「嫌われる勇気」では、以下のように語っています。

「自らの主観によって「私は他者に貢献できている」と思えること。そこではじめて、われわれは自らの価値を実感することができるのです。」

(嫌われる勇気 岸見一郎 古賀史健)

たとえば、職場にゴミが落ちていたとします。

これを拾ってゴミ箱に捨てた時に、「誰か見てないかな」と考えるのは、承認欲求にとらわれていることになります。

「職場がきれいになってよかったな」と思うこと、それだけで満足し、それ以上は求めないことが、他者貢献なのです。

他者貢献は、自分の主観として「誰かの役に立っている」と思っていればいいということになりますので、ある意味、究極の自己満足とも言えます。

でも、自己満足でも全く構わないのです。

そこに他者からの評価を求めれば、どうしても他者に合わせることになり、結局、自分の自由は失われてしまうからです。

「嫌われる勇気」では、他者貢献ができれば、他者を仲間だと見なし、そこに「自分の居場所がある」と感じられると述べています。

「誰かのヒーローになって夢を与えたい」、この主人公の思いこそ他者に貢献するということでしょう。

だからこそ、主人公は自分の価値を実感することができており、アクションクラブの代表として、そしてより大きな共同体の仲間として、沢山の人々に慕われているのではないでしょうか。

そこから、夢に向かう原動力が生まれてくるのです。

アクションに夢を!

子供番組でも手を抜くな

主人公は小さいころは身体が弱かったのですが、自分にとってのヒーローだったブルース・リーのようなアクションスターになりたいと、スーツアクターの世界に入ります。

ところが、現実は厳しく、日本ではスーツアクターからアクションスターになる道は開かれておらず、なかなか顔出しでの仕事が回ってこないという現実があります。

現実に打ちのめされ、夢を諦めて去っていく仲間もいます。

だからこそ、主人公は自分がアクションスターになって、かつての自分のような子供や、スーツアクターの仲間たちに夢を与えたかったのではないでしょうか。

そんな主人公の、夢にかける姿勢がヒシヒシと伝わってくる場面があります。

主人公が役の表現を理解するために台本を読み込んでいると、そのことを新人俳優に「子供番組ですよ?」とバカにされるという場面なのですが、

そこで主人公は「表現ってのは必ず伝わるものだ。大人も子供も関係ない。」と言い切っています。

今やっていることに一生懸命に取り組んでいれば、将来の夢につながると信じているのです。

この場面は、唐沢寿明さんという俳優の生き方にも通じるところがあります。

今の仕事に全力になれ

唐沢さんは、インタビューでこう語っています。

「常に一生懸命やりましたよ。例えばショッカーをやっていても、手を抜くことは簡単にできる。しかも、ショッカーなんて見たことないから動きなんてわからないでしょ(笑)。でも自分たちなりに一生懸命やると「唐沢って体利くな」って次も呼んでもらえたりするから。一つ一つ大切にやっていれば、必ず誰かが見てくれていて、次につなげてくれるんです。」

(エンタメの今が分かるクランクイン! 2014/9/5)

子供番組だからといって手を抜いていたら、それは子供にも伝わってしまいます。

唐沢さんは、一つ一つ手を抜かず努力を積み重ねていったから、俳優として成功を収めることが出来たのでしょう。

このことは全ての働く人にも当てはまることだと思います。

今やっていることに一生懸命取り組んでいれば、誰かが見てくれています。

そして、それは将来の夢にもつながってくるのです。

まとめ

愚直に頑張り続ける主人公や、それを演じる唐沢さんの生き方は、夢を諦めかけた大人たちにもう一度立ち上がる勇気を与えてくれます。

そして、「自分も誰かのヒーローになって夢を与えていきたい」「誰かの役に立って共同体感覚にたどり着きたい」と、そんな気持ちにさせてくれるんです。

すべての働く人におすすめできる作品ですね。

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本ページの情報は2023年8月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにて
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