サラリーマンなら誰でも「この人の下で働きたい」と思える理想の上司。
それが、キスカ島撤退作戦の指揮官・木村昌福(きむらまさとみ)中将です。
キスカ島の撤退作戦では、同調圧力に屈することなく指揮官として冷静な判断を行い、多くの人命を救いました。
木村中将の発揮したリーダーシップは、ビジネスにも生かせるものなのです。
そこでこの記事では、木村中将を題材にした4つの作品を紹介していきたいと思います。
- 「太平洋奇跡の作戦 キスカ」
- 「八月十五日に吹く風」 松岡圭祐
- 「キスカ撤退の指揮官」 将口泰浩
- 「漫画で読む キスカ島奇跡の撤退 木村昌福中将の生涯」 木村氣
人命尊重の指揮官
木村中将は、日本海軍の軍人として、太平洋戦争の海上戦闘で数々の武勲を立てています。
特に、奇跡の作戦といわれた「キスカ島撤退作戦」において、5,183名の日本軍将兵を救出した功績で有名です。
戦争指揮官の中には、部下の兵士の命をただの数字としか思っていない人もいます。
自らの功名心のために、無謀な作戦を無理やり決行して、無駄な死を増やすのです。
その点、木村中将は徹底的に人命を尊重しました。
組織の同調圧力をものともせず、冷静に状況を分析し、慎重に慎重を重ねて作戦を進めていくのです。
そのことが「キスカ島撤退作戦」を成功に導き、数多くの将兵を救うことになりました。
日本人として、木村中将のようなリーダーがいたことを忘れてはなりません。
「木村昌福中将」を題材とした作品 4選
それでは、「木村昌福中将」を題材とした4つの作品を紹介していきます。
「太平洋奇跡の作戦 キスカ」
太平洋奇跡の作戦 キスカ
本作は、1965年に東宝の配給で公開された戦争映画です。
米艦隊に包囲されキスカ島に孤立した約5,200名の日本軍将兵を救うために奮闘した人々の生き様を描いた作品です。
円谷英二特技監督の手掛けた特撮シーンも素晴らしく、キスカ湾を目指して岩礁の間を進んでいく艦隊の航行シーンもリアルで見ごたえがあります。
主演を務めた三船敏郎さんが、木村中将(当時少将)をモデルとした大村少将を演じており、同調圧力に負けず自分の信念を貫く気骨ある人物を、重厚感あふれる演技で表現しています。
本作では、そのことを象徴するシーンがあります。
一度目の救出作戦で、救出部隊がキスカ島の近海まで接近したときのこと。
作戦成功のためには、霧に隠れて隠密行動を取る必要がありますが、現地の天気は晴れの予報が出てしまいます。
それにも関わらず、手柄を焦る救出部隊には、敵に発見される覚悟で「キスカ島に突入すべきだ」という意見が大勢を占めていきます。
そこで、三船さん演じる大村少将はこう言います。
「帰れば、また来ることが出来る」
その場の空気に流されず、冷静に状況を見極め的確な判断を下すという、「リーダーとはどうあるべきか」が伝わってくるような台詞です。
組織の中で管理職やリーダーを勤めている方には、是非とも見ていただきたい作品です。
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「八月十五日に吹く風」 松岡圭祐
八月十五日に吹く風 (講談社文庫)
キスカ島撤退作戦の事実をベースに、日米双方の視点からアレンジを加えた作品です。
孤立したキスカ島から5,183名の将兵全員を救うという奇跡の撤退作戦を成功させることが出来たのは、木村中将の人間力かもしれません。
精神主義や玉砕を美化する当時の風潮にあっても、木村中将は家族や部下に対する思いやりを大切にしていました。
その心を持って綿密な準備を行い、的確な状況判断をしたから撤退作戦を成功に導くことがでできたのではないでしょうか。
本作からはそんなことが伝わってきます。
また、本作では、木村中将のような日本人がいることを知って、日本人を危険民族としか思っていなかったアメリカ人が、徐々にその考えを改めていきます。
木村中将の人間力は、敵であるアメリカ人の心も動かしていくのです。
こんな日本の軍人がいたということが、もっと多くの人に伝わってほしいです。
本作はそのきっかけになると思います。
「キスカ撤退の指揮官」 将口泰浩
キスカ撤退の指揮官 (光人社NF文庫)
木村中将の幼少期から、軍人として数々の功績を上げ、戦後も部下の世話を尽くし、人生を全うするまでを、数々のエピソードを踏まえてまとめています。
読んで思うことは、ただひたすら「こんな上司が欲しい!」です。
木村中将は、軍人の中でも一二を争うほどのホワイト上司ではないでしょうか。
人間というものを徹底的に尊重していたのです。
だからこそ、沢山の人に慕われたのです。
本書によると、木村中将は、重巡洋艦「鈴谷」の艦長として若い士官候補生を受け入れた際に、「自分達の勉強収得が第一。生徒の考えで兵員を殴打する等以てのほか」と説いています。
また、若い兵士を暴力制裁している古参兵に対しても、「一度言って分からないときは二度でも三度でも言う。心を込めて教えれば、どんな人間でもやるようになる。」と諭しています。
木村中将は、「意味のない暴力で人は育たない」という考え方を持っていたのです。
本書では、このような木村中将の数々のホワイト上司エピソードが出てきます。
木村中将の人柄があればこそ、部下は最大限の力を発揮して、キスカ島撤退作戦をはじめ数々の功績を挙げることが出来たのでしょう。
「人を育てる」とはどういうことかが分かる、管理職必読の書です。
「漫画で読む キスカ島奇跡の撤退 木村昌福中将の生涯」 木村氣
漫画で読む キスカ島奇跡の撤退 木村昌福中将の生涯
木村中将の生涯を、木村中将の次男の木村氣(のぼる)さんが漫画で綴った作品です。
数々の過酷な作戦に従事した木村中将でしたが、プライベートでは温厚な父親でした。
その木村中将の二つの顔を、ほのぼのとした画風で表現しています。
作中で木村中将が自分の信念を語っており、その一つがとても印象に残ります。
「『一将功成りて万骨枯る』であってはならない。どんな作戦でも指揮官より一兵卒に至る各位の尽力があって成り立つもので、一将の功績に非ず全員で分かち合うものである。」
この信念があるから、戦後になっても木村中将は自慢げに戦功を語るようなことはしなかったのでしょう。
私の前の職場でも、面倒な仕事を部下に押し付けて、自分だけ前向きな仕事をして実績を上げて、それを自慢するという上司がいました。
当然この上司は、部下からは慕われていませんでした。
この上司は、チームが全員の頑張りで成果を出しているということを分かっていなかったのでしょう。
部下にもそのことを見透かされていたんですね。
本作では、数々のエピソードから、戦後も含めて、木村中将が本当に部下に慕われていたということが伝わってきます。
部下に慕われる上司とは何か、本書を読めばそのことが分かってきます。
まとめ
この記事では、「木村昌福中将」を題材とした作品を紹介していきました。
これらの作品から、木村中将は理想的なホワイト上司であることが分かってきます。
組織で働く人なら、「こんな上司がほしい!」と共感できるはずです。