それぞれの強みを持ったメンバーが、お互いにコミュニケーションを取り、一丸となってチームの勝利を目指していく。
ラグビーというスポーツには、ビジネスにも共通するところが数多くあります。
チームをまとめ上げる指導者の考え方も、職場でのリーダーシップやマネジメントにとても参考になります。
そこで今回は、ラグビー指導者の本4冊を紹介していきます。
- 『常勝軍団のプリンシプル』 岩出雅之
- 『逆境を楽しむ力』 岩出雅之
- 『ハードワーク 勝つためのマインドセッティング』 エディー・ジョーンズ
- 『オールブラックス 圧倒的勝利のマインドセット』 今泉清
なお、今回紹介する本4冊は書籍要約サイト「flier(フライヤー)」で要約が配信されています。
ビジネスに生かす「ラグビー指導者」の本 4冊
『常勝軍団のプリンシプル』 岩出雅之
著者は1996年に帝京大学ラグビー部の監督に就任し、2009年~2017年のラグビー大学選手権では、前人未踏の9連覇を達成しています。
2021年度の10度目の優勝を持って監督を退き、現在は帝京大学スポーツ局の局長を務めています。
帝京大学のラグビー部がここまで強くなった秘訣は「脱・体育会系」という考え方です。
帝京大学ラグビー部では、選手に細かく指示命令するのではなく、内発的動機を高めることを重視しました。
一般的な部活動では、上級生が一方的に説明し、下級生が黙って聞いている、というのがよく見られる光景ですが、
帝京大学ラグビー部では、練習中に「3人トーク」といって、プレーの内容について上級生が下級生に質問をするという機会を設けます。
下級生は質問に答える過程で、プレーの内容を整理し、言語として具体化することで、自分の考えをしっかりと持つことができるのです。
このように、下級生のうちから自分の考えを持ち、内発的な動機を高めていくということが、強いチームを作り上げたのです。
仕事においても、ただ上司の指示を聞いているだけでは、部下はなかなか成長しないでしょう。
言語化を通じて自分の考えを持つという帝京大学ラグビー部の方法論は、社会人としても実践していきたいところです。
『逆境を楽しむ力』 岩出雅之
帝京大学ラグビー部は、2018~2020年度の3年間、優勝から遠ざかります。
著者はその反省点として、心理的安全性の落とし穴である「チームの仲良しグループ化」や、指導方法が「Z世代」(1996年以降に生まれたデジタルネイティブの世代)に適していなかったことを挙げています。
そこで、監督から直接の指示・命令を行うのではなく、学生の方からより良い方法を提案してもらうというやり方で、学生の内発的な動機をさらに高めたり、選手のプレーにリフレクション(内省)を取り入れるなどの方法でチームの弱点を克服し、2021年度には10度目の大学王者に輝いています。
選手が毎年入れ替わる大学スポーツにおいて、新しい世代の価値観の変化にいち早く気付き、柔軟に指導方法を変更して実践できることが、帝京大学ラグビー部の強みなのでしょう。
本書は、帝京大学ラグビー部の「脱・体育会系」理論の集大成となっています。
これから「Z世代」の部下を持つであろうマネージャーの方にもオススメしたいです。
『ハードワーク 勝つためのマインドセッティング』 エディー・ジョーンズ
著者は、ラグビー日本代表のヘッドコーチとして、2015年W杯では強豪南アフリカに歴史的な勝利を収め、「ブライトンの奇跡」として世界からの注目を集めました。
現在は、イングランド代表のヘッドコーチを務めています。
本書では、日本代表を率いていた際のチーム運営の手法を解説しながら、マネジメント論について語っています。
日本代表が成功を収めた大きな理由は、現状を分析し、長所短所を見極めたことです。
日本人は欧米人に比べ体格では劣りますが、敏捷性という長所があるので、その長所を極限まで磨き上げました。
また、試合に向けてあらゆることを想定し、綿密な準備をしました。
本番以上に強度を上げた訓練を行い、試合に備えたのです。
日本代表の勝利は奇跡と称されていますが、そこに至るまでの確かな計画があったことが、本書を読めば分かってきます。
そして、そのことはビジネスにも生かせる方法論なのです。
『オールブラックス 圧倒的勝利のマインドセット』 今泉清
著者は、早稲田大学ラグビー部時代に大学選手権優勝2回、日本選手権優勝1回を経験し、卒業後はニュージーランドにラグビー留学をしています。
その後はサントリーで活躍し、1995年ラグビーW杯の日本代表にも選出され、引退後は早稲田大学やサントリーフーズでコーチとして後進の育成にあたりました。
その著者の経験を交え、本書ではニュージーランド代表・オールブラックスの強さを分かりやすく解説しています。
本書を読むと、オールブラックスには、個人のスキルをいかにしてチームのために役立てるかという「ポジティブな組織への貢献精神」があることが分かります。
チームの全員がリーダーという意識を持ち、指導者と意見が分かれた時には、納得するまでどちらも意見を出し合うのです。
そして「ロジカル・コミュニケーション」を重視し、「やればできる」ではなく、必要な課題を論理的に認識して話し合い、選手のプレーの改善点を明確にしています。
その際には、「結論から話す」ことも徹底されています。
これらがオールブラックスの修正力、強さの秘訣でしょう。
このように、本書からは、ビジネスにも共通するオールブラックス流のチームビルディングのセオリーが分かってきます。
まとめ
この記事では、ビジネスにも生かせる「ラグビー指導者」の本を紹介していきました。
これらの本に書かれていることは、職場でのマネジメントにもとても参考になります。
日々の業務にも取り入れていきたいですね。