2022年6月、日本では「改正公益通報者保護法」が施工されました。
この法律は、組織の不正を明るみにしようとする内部告発者を保護するためのものです。
日本では、内部告発者には「裏切者」「密告者」などのマイナスイメージが付きまとい、告発した人が組織から報復を受けるという事例もよくあります。
そこで、こうした法律が施行されることになったのです。
これに対し、英語圏では内部告発者を「ホイッスルブロワー(whistle blower)」と呼んでおり、これは、警笛を吹き鳴らす、勇気のある人を連想させる言葉なのです。
ホイッスルブロワーが不正を明るみにすることで、組織は立ち直るきっかけを掴み、長い目で見れば組織にとっての利益にもなるのです。
そこでこの記事では、内部告発者の姿を描いた映画を5本紹介していきます。
今回紹介する作品は全て実話をベースにしており、自らの信念を貫き組織の不正に立ち向かった勇気ある人々の姿は、日本のサラリーマンにも深い感銘を与えてくれます。
- 「カジュアリティーズ」
- 「セルピコ」
- 「スノーデン」
- 「スタンドアップ」
- 「ザ・シークレットマン」
尚、今回紹介する全ての作品は、動画配信サービスU-NEXTで見放題配信を行っています。(2023年6月現在)
内部告発を描いた映画 5選 (洋画編)
「カジュアリティーズ」
ベトナム戦争中に実際に起きた、アメリカ陸軍兵士によるベトナム人女性強姦事件を題材にした社会派戦争映画です。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで有名なマイケル・J・フォックスが、同僚を告発した勇気ある兵士、マックス・エリクソンの姿をシリアスに演じています。
ベトナム戦争が激化した1966年、エリクソンの所属する小隊は、敵地の偵察任務を行います。
そこで、彼以外の4人の兵士は、現地のベトナム人女性を誘拐し、強姦した揚げ句射殺するという暴挙に走ります。
彼女を救うことができなかったエリクソンは、このことを軍の上層部に報告しますが、不祥事を隠したい上層部は「仕返しをされるぞ!」とエリクソンを脅して、彼を左遷しようと目論み、さらに、彼が告発したことも同僚の兵士たちにバラしてしまいます。
そのせいで同僚から恨みを買ったエリクソンは、トイレで用を足していたところ、手榴弾で爆殺されそうになったりもします。
このように本作には、組織からの嫌がらせ&事件のもみ消しという、「内部告発者あるある」な展開が続いていくのです。
そのような狂気の中にあっても、正気を失わず自らの信念を貫くエリクソンの生き様には心を打たれます。
最後まで折れないエリクソンの姿勢は、日本のサラリーマンにも大きな勇気を与えてくれます。
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「セルピコ」
名匠シドニー・ルメット監督が、警察内部の腐敗と戦った実在の警察官、フランク・セルピコの姿を描いた社会派ドラマです。
セルピコは、1960~70年頃のニューヨーク市警に蔓延していた汚職を告発した警察官として、アメリカではとても有名な人物です。
警察学校を卒業後、正義感に燃えてニューヨーク市警の勤務に就いたセルピコは、警察が犯罪を見逃す代わりに賄賂を受け取るという汚職の実態を目の当たりにします。
空気など読まないセルピコは、賄賂の受取を拒否し、汚職とも断固として戦う姿勢を見せますが、そのことで彼は村八分のような扱いを受けていきます。
同僚たちからは裏切り者と呼ばれ、囲まれて罵倒されたり、危険の多い現場に飛ばされるという懲罰的な人事異動も受けたりします。
このように本作では、内部告発者を行った人間に対する報いを、じっくりと描いているのです。
上司の不正を告発したところ、逆に自分がペナルティを受けたというサラリーマンの方には、とても共感できるはずです。
警察という巨大権力と向き合い、たった一人になっても己の信念を貫き通したセルピコの姿は、日本のサラリーマンにも大きな勇気を与えてくれます。
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「スノーデン」
アメリカ政府による個人情報監視の実態を暴いた元CIA職員、エドワード・スノーデンの実話を、社会派映画で知られるオリバー・ストーン監督が映画化した作品です。
祖国アメリカに貢献したいと考えたスノーデンは、軍に志願入隊しますが、足に大ケガを負って除隊を余儀なくされます。
失意の底にあったスノーデンでしたが、ずば抜けたコンピュータの知識を認められ、CIAに採用されることになります。
そこで彼が目にしたものは、アメリカ政府が対テロ諜報活動の名目で、世界中の通話、メール、SNSを監視しているという実態でした。
その実態は、日本人から見ても背筋が凍り付く思いですね。
本作では、スノーデンが内部告発を行うに至った約10年間の軌跡を、恋人のリンゼイとの関係も交えてじっくりと描いています。
その経緯から、なぜスノーデンが輝かしいキャリアを捨てて、自身にも危険が及ぶ内部告発を決意したのかということが分かってきます。
そこから伝わってくるのは、スノーデンの職業人としての真っ直ぐな信念です。
組織の中にあっても自分の信念を貫くスノーデンの姿は、日本のサラリーマンの心を激しく揺さぶります。
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「スタンドアップ」
全米で初めてセクシャル・ハラスメント訴訟に勝利した女性の実話を映画化した作品です。
オスカー女優のシャーリーズ・セロンが、過酷なセクハラに敢然と立ち向かった気骨ある女性、ジョージー・エイムズの姿を力強く演じています。
物語は、2児のシングルマザーであるジョージ―が、生まれ故郷に戻って鉱山で働くところから始まります。
ところが、1989年当時の鉱山は完全な男性社会であり、女性が鉱山で働くことが男性たちには面白くなく、ジョージ―は執拗なセクハラを受けるようになります。
ジョージ―はそのことを会社のトップに訴えますが、会社からは組織への反逆だと見なされ、ジョージ―への嫌がらせはますますエスカレートしていきます。
さらに、味方であるはずの同僚の女性も会社側に味方して、「ジョージ―の行いは迷惑だ!」と彼女を責めるようになるのです。
このあたりの人間の心情も、とてもよく分かりますね。
セクハラもパワハラも、被害を受けている側が団結をすれば、組織を相手にしても勝てる確率は高まりますが、負けた時に自分が不利な立場になることを考え、つい組織側に都合の良い証言をしてしまう人が出てくるのです。
だからこそ、組織を敵に回しても戦いを辞めないジョージ―の姿に、心の底から感動するのです。
「ひとりでも闘い抜く」というコピーが胸に刺さる、組織に負けない勇気を与えてくれる作品です。
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「ザ・シークレットマン」
ニクソン大統領を失脚に導いたアメリカ史上最大の政治スキャンダル、「ウォーターゲート事件」の実話を、リーアム・ニーソン主演で描いたサスペンス映画です。
最高権力者であるアメリカ大統領に対し孤独な戦いを挑んだFBI副長官、マーク・フェルトの姿を中心に、事件の全貌を緊迫感たっぷりに描き上げています。
ワシントンD.C.の民主党本部に侵入した5人の男が逮捕された「ウォーターゲート事件」の捜査において、大統領の息のかかったFBI長官代理・グレイは、事件の捜査を早めに終息させることを指示します。
事件の指揮を担当したフェルトは、背後にホワイトハウス、ひいては、大統領の思惑があることを確信し、捜査を続行していきます。
ホワイトハウス側も、捜査への干渉やスパイ行為、人事への介入など、様々な圧力をかけてきます。
それでもフェルトは屈することなく、密かに思い切った行動に打って出ることになります。
勤続30年、FBIに人生をかけた人間として、FBIの独立性を徹底的に守り、権力に真っ向から立ち向かったのです。
こうしたフェルトの姿勢から、仕事を愛した人間の真っ直ぐな信念が伝わってきます。
日本のサラリーマンも、こんな信念を持って仕事に取り組みたいですね。
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まとめ
この記事では、内部告発者の姿を描いた映画作品を紹介していきました。
日本では内部告発者に対してマイナスイメージがありますが、今回紹介した作品を見れば、内部告発者とは自分の職務に忠実であり、仕事に対して真っ直ぐな姿勢を持つ人々であることが分かってきます。
そうした人々を内部告発に走らせ、本来持っている仕事の能力をムダにしないためにも、これからの組織には自らの不祥事に真剣に向き合っていくことが求められてきます。
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- 「スノーデン」
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- 「ザ・シークレットマン」
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